感情の大人ごころの育て方
Growing the Adult Mind(Emotional Maturity)
感情の大人ごころとは
「感情的にならないようにしよう」
「もっと大人になれ、と言われる」
「感情を出してはいけない気がして、いつも抑えてきた」
このように感じてきた方に、お伝えしたいことがあります。
「感情を抑える」ことと、「感情を扱える大人ごころ」は、まったく別のものです。
感情の大人ごころとは、感情を感じないようにすることではありません。どんな感情も感じ、受け取り、それを人生のエネルギーとして活かせる力のことです。
喜びも、悲しみも、怒りも、恐れも——すべての感情は、あなたの内側からのサインです。その感情を扱える「大人ごころ」が育つと、人生の安定感が変わり、人間関係の質が変わり、自分への見方が変わっていきます。
子どもごころと大人ごころ
感情の問題の多くは、幼い頃に十分に癒されなかった「子どもごころ」から来ています。
→ 子どもごころとは
子どもごころが動いている時、私たちは幼い頃のパターンをそのまま繰り返します。大人の体を持ちながら、3歳の子どものように怒ったり、1歳の子どものように依存したりします。
大人ごころを育てるとは、この子どもごころを否定することではありません。傷ついた子どもごころに向き合い、癒し、そこから自分を成長させていくプロセスです。
また、怒りの感情については特別な視点があります。怒りは「悪い感情」ではなく、もっとも原始的で根源的な生命のエネルギーです。
→ 原初の怒りとは
癒すだけでは終わらない、育てるプロセスがある
多くの心理療法では「インナーチャイルドを癒す」ことがゴールのように語られます。
でも、私はそこで終わりとは考えていません。
癒された子どもごころは、まだ”子ども”のままです。癒されたあとには、「躾け、育てるプロセス」が必要です。
子どもごころを叱りつけることでも、甘やかすことでもなく——大人ごころが育つことで、はじめて子どもごころの感情を理解し、受け止め、必要な行動へと導けるようになります。
これはまさに、自分の中で「子育て」が始まる状態です。
感情にも「教育」が必要
私たちは勉強の仕方、仕事のやり方、人間関係のマナーは学びます。
でも、感情の扱い方を、誰からも教わっていません。
怒り・拗ね・嫉妬・依存・不安——これらはすべて、扱い方を学んでいない感情の反応です。
学んでいないのだから、できなくて当然です。問題なのではなく、まだ教わっていないだけです。
だからこそ、子どもごころを理解し大人ごころを育てる「感情の教育」が必要なのです。
大人ごころの3つの柱
① 安心感(自分の感情の土台)
「何かあっても大丈夫」という内側からの安心感。これは楽観主義でも、鈍感さでもありません。
自分の感情に気づき、感じ、受け取ることができる——そこから生まれる、静かで深い安心感です。
これが育つと、他者の感情や言動に振り回されにくくなります。「怒らせないようにしよう」「嫌われないようにしよう」「どう思われるんだろう」というアンテナが、静かに収まっていきます。
② 境界線(自分と相手を守る力)
「ここまでは受け取れる、ここからは受け取れない」——その感覚を持つことが境界線です。
境界線が薄い人は、他者の感情や期待を引き受けすぎて疲弊します。境界線が硬すぎる人は、人と深くつながれずに孤独を感じます。
大人ごころの境界線は、壁ではなく、扉のようなものです。必要な時に開き、必要な時に閉じることができる、しなやかな力です。
③ 自己肯定感(ありのままの自分への信頼)
「できた自分」だから価値がある、ではなく「存在している自分」に価値がある——そう感じられる感覚。
これは、言葉で「自分を好きになろう」と思っても育ちません。自分の中の傷ついた感情に向き合い、罪悪感・劣等感・嫉妬心をも認め、癒していく中で、じわじわと育っていくものです。
「ありのままでいい」という言葉が広まっています。でも、わがままでいい、好きなことだけで生きていい、という意味ではありません。「いいんだよ」と寄り添うだけでは、自己価値は上がらないのです。
本当の自己肯定感は、どん底に落ちた時にこそ育まれます。
自分の中から生まれた怒り・嫉妬・罪悪感・劣等感——そのすべてのネガティブな感情を、「これも自分だ」と認められた時。そしてそのネガティブな感情が、ネガティブなまま終わるのではなく、未来の自分からのサインだと気づいた時。感情を生きるエネルギーへと変換できた時——はじめて、心の底から今までの自分に感謝できるようになります。
それが、本当に自分を好きになれるということ。自分の人生の目的が見つかり、それを生きられるようになった時、自己肯定感・自己価値は本当の意味で上がるのです。
大人ごころが育つと、何が変わるのか
人間関係
相手を変えようとするより、自分の感情を整えることができるようになります。「また同じパターンの人を選んでしまった」という繰り返しが、少しずつ変わっていきます。
仕事・行動力
子どもごころに邪魔されず、やりたいことに向かえるようになります。批判や失敗を「脅威」ではなく「情報」として受け取れるようになります。
子育て
自分の感情が整うと、子どもへの関わり方が変わります。子どもは親の大人ごころに、必ず反応します。
自分自身との関係
「どうせ私なんて」という声が小さくなります。自分の気持ちがわかるようになります。「こうしたい」が、はっきりしてきます。
大人ごころは、知識では育たない
「自己肯定感を高めましょう」「ポジティブに考えましょう」——こうした言葉が、届かなかった経験はありませんか。
それは、言葉では届かない場所に、傷があるからです。
大人ごころは、知識として学ぶものではありません。感情を感じ、癒し、体験を通して育てていくものです。
私がセラピーと講座を通してお伝えしているのは、その体験のプロセスです。
セラピストとして、母として
「大人ごころを育てる」——これは、14年以上続けてきたメルマガのテーマでもあります。
なぜそのテーマにこだわり続けてきたか。それは私自身が、ずっと子どもごころに振り回されてきたからです。
仕事でも、育児でも、人間関係でも——「大人のはずなのに」と何度も自分に失望しました。
でも、感情に向き合い続ける中で気づいたことがあります。大人ごころは、年齢とともに自然に育つものではない。意識して、育てていくものだということです。
1万件を超えるセッションの中で、大人ごころが育っていった方の変化を、私は何度も目の当たりにしてきました。それは、大きな喜びであり、この仕事を続けてきて本当によかった、という達成感でもあります。
あなたの大人ごころも、何歳からでも育てられます。
心理セラピスト 西谷真美
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