胎児期〜6歳の感情発達

人生の「感情の土台」は、6歳までにつくられる

胎児期〜6歳の感情発達とは

「なぜ同じことを繰り返してしまうのだろう」
「なぜあの場面でこんなに感情が動くのだろう」

大人になってから感じるそんな疑問の答えは、多くの場合、6歳以前の体験の中にあります。

私はこれまで、1万件を超えるカウンセリングの中で、たくさんの方の人生を聞いてきました。その中で気づいたことがあります。大人が抱える出来事や症状には、出産から6歳までの体験にパターンがある、ということです。

どんな子育てをすると、どんな大人になるか——その相関関係が、長年の実践の中で見えてきました。このページでは、その知見をもとに、胎児期から6歳までの感情発達をお伝えします。

人の感情の土台は、胎児期から6歳までの間に形成されます。この時期の体験——愛された記憶、怖かった体験、寂しかった感覚、安心した瞬間——すべてが、その人の「感情のクセ」として深く刻み込まれます。言葉を持たない時期の体験だからこそ、記憶としては残っていなくても、感情と身体の反応として一生働き続けるのです。


発達段階ごとの感情の特徴

胎内期(〜出生)

子宮の中は、完全に満たされた世界です。寝たい時に眠り、臍の緒から酸素と栄養が届き、温かく、安全で、ストレスがない。赤ちゃんはその世界に、ずっといたいのです。

この時期のキーワードは「まだ生まれたくない、ずっとここにいたい」。

予定日を2週間過ぎても出てこない、4000グラムを超えても出てこない、陣痛が起きず促進剤で出される——そんな出産体験をした方に共通して見られたのが、大人になってから「新しいことを始める時の漠然とした恐怖」です。変化を前にすると理由のない不安が湧いてくる、前に踏み出せない——その根っこに、「胎内から出たくなかった」という体験が潜んでいることがあります。

また、望まれない妊娠・出産だった場合も、「外に出たくない」という気持ちから陣痛が起きにくいケースがありました。

セラピーでできること

「出たくない」理由のひとつに、「外の世界が安全かどうか、まだわからない」という感覚があります。初めての体験は誰もが不安で怖いもの。でも、「ちゃんと準備されていた」「サポートしてくれる人がいる」「守られる環境がある」ということが伝わると、勇気を出して出ようと思えるのです。

セラピーの中でそのことをお伝えすると、「出てもいいと思えた」という体感が生まれることがあります。まだそう思えない方には、また別のアプローチを行います。すると現実が変わっていきます——新しいことにチャレンジすることが、それほど怖くなくなるのです。


出生〜生後6ヶ月

出産は、人生最初にして最大の「喪失」であり「分離体験」です。

子宮の中では、寝たい時に眠り、臍の緒から酸素と栄養が届き、すべてが満たされていました。そのストレスのない完全な世界から、生まれた瞬間にすべてを失います。寒い、眩しい、息をしなければいけない、空腹になる——まるでブラックホールに裸で放り出されたような、欠乏感だらけの世界です。泣くこと自体もストレス。すべてがマイナスから始まります。

生まれてお母さんと離れた体験は、誰もが持つ「母子分離不安」の始まりです。癒されないままでいると、人生の中で何度も似たような出来事として繰り返し現れます。(☆母子分離不安参照)

それでも、泣くと抱っこしてもらえる。泣くとおっぱいやミルクが来る。不快が快に変わる体験を繰り返す中で、赤ちゃんはメインでお世話してくれる人——多くの場合お母さん——にポッと恋心を抱きます。これが人生最初の恋の始まりです。そしてこの感覚は、大人になってから好きになった人への気持ちに投影されていきます。

「泣いたら来てくれる」「泣いたらストレスを取り除いてくれる」——この体験の積み重ねが、人への基本的な信頼感の土台になります。

「泣かせる」ことの大切さ

人生はチャレンジの連続であり、ストレスはなくなりません。だからこそ、赤ちゃんの頃に「しっかり泣かせてもらえる」体験がとても大切です。

生理的要求(空腹・痛み・不快)以外で泣いている時——たとえば思い通りにならなくて悔しい、怖い、不安——そのまましっかり泣かせてもらえると、ストレスに強い子どもに育ちます。宿題がうまくできなくても無駄に癇癪を起こさない、我慢できる、待つことができる——そんな力が育まれます。

反対に、「泣いたらすぐ抱っこ」「泣いたら何度でもおっぱい」を繰り返していると、のちにストレス耐性が育ちにくくなります。行き渋り、新しい環境が苦手、友達関係がうまく築けない——大人になってもストレスに弱く、嫌と言えない、自分の気持ちが言えず我慢しすぎる、という形で現れることがあります。

セラピーでできること

子どもから大人まで、セラピーの中でお伝えしているのは「感情を感じて、味わう」ということです。

これは、赤ちゃんの時に泣けなかった感情を、現在の自分が見守りながら出させる——そんな感じです。感情を感じて味わうのは、正直とてもしんどい作業です。だからこそ、甘いものやハードワークに逃げたくなる、ごまかしたくなる。その気持ちはよくわかります。

でも、感情を感じて味わうことは、赤ちゃんの頃にストレスで泣くことと同じことを、今の自分がやっている、ということ。それ自体が、自分自身への深いセラピーです。


生後6ヶ月〜1歳半

この時期、赤ちゃんはさまざまな人と接するようになり、世界が少しずつ広がっていきます。同時に、出産時に感じた「もう二度とお母さんに会えないかもしれない」「安心安全な世界から放り出されるような感覚」——いったん忘れていた母子分離不安が、再び戻ってくる時期でもあります。

それが後追いの激しさとして現れたり、時に自分の頭を叩くといった自傷行為として現れることもあります。「愛着の証拠」という見方もありますが、私はその奥に、出産時の分離の記憶が蘇ってきている、という視点で見ています。

セラピーでできること

この時期の感情は、大人になってからも繰り返し顔を出します。

保育園や学校にようやく慣れ始めた頃、恋愛が始まって少し経った頃、親元を離れた環境に慣れ始めた頃——安心したと思った矢先に、突然不安や恐怖が押し寄せてくる。それはこの時期の感情が蘇っているサインです。

母子分離不安の癒し」を行うことで、だんだんとその感情は落ち着いていきます。

母子分離不安の癒しとは?
西谷真美独自のメソッドがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


1歳半〜3歳

物心がつき始め、躾けがスタートする時期です。親の「ダメ!」「危ない!」「やめて!」という言葉が増えていきます。

「イヤイヤ期」とも呼ばれるこの時期、子どもは「自分」というものを発見し始めます。「自分でやりたい」「自分で決めたい」——この欲求は、健全な自立心の芽生えです。この時期の感情は激しく、コントロールが難しいもの。「怒っていい」「泣いていい」「嫌だと言っていい」という体験が、感情を健全に扱う力の土台になります。

思うようにならないことで怒り、注意されることで傷つき、反抗し——怒りと罪悪感を積み重ねていきます。親の顔色を窺ったり、わざと嫌がることをしたり、誤魔化したり。親の感情がとても刺激される、逆なでされる、つらい時期です。「どう躾ければいいのかわからない」「傷つけてしまったのでは」と感じるお母さんも多いでしょう。

反対に、「泣くな」「怒るな」「わがままを言うな」と繰り返し言われた子どもは、感情を「出してはいけないもの」として学習します。それが大人になってから「感情がわからない」「やる気が出ない」「集中力がない」「忘れっぽい」という状態につながります。

ここでの癒しと躾けが、のちにさまざまな場面で現れます。大人になってからの「言うことを聞かない自分の中の子どもちゃん」が出来上がるのも、この時期です。さあやろうと思った瞬間に、この「1歳半〜3歳児モード」に邪魔をされ、面倒くさくなったり、やる気が急に失せたりする——それはこの時期の感情が働いているサインです。

セラピーでできること

この時期の子どものセラピーと、大人のセラピーでの癒し方・言葉かけは同じです。

① 傷に寄り添う
② 感情を出す
③ 説明する

この流れを行ったり来たりしながら、だんだんと聞き分けのよさ、本来の素直さ、明るさが戻ってきます。そして、邪魔されなくなり、自分に集中できるようになる。言うことを聞けるようになる。能力を磨けるようになる。夢を見つけられるようになる——そんな変化が起きていきます。


3歳〜6歳

劣等感と優越感を行ったり来たり。欠乏感や比較意識から、嫉妬、攻撃。自分の非を素直に認められず、嘘をついたり、ごまかしたり。褒めて認めてもらいたいがために、いい子になったり、逆にもっと悪い子になったり。

親に怒られることで「嫌われた」「自分はダメなんだ」「いないほうがいいんだ」「自分のせいだ」と傷ついていきます。兄弟との関係の中で感じた感情も、層を重ねるように積み重なっていきます。

その結果、言うことを聞かなくなるか——あるいは感情を抑圧し、感じられなくなり、考えられなくなるか。どちらかに向かっていきます。

大人になってから現れるもの

嫉妬で苦しむ。親や兄弟との関係が色濃く、人間関係に投影される。心と体に症状として現れる——この時期に積み重ねた感情の傷が、形を変えて繰り返されます。

また、この時期、子どもは「人間関係」を学び始めます。友達、兄弟、先生——さまざまな関係の中で「好き・嫌い」「公平・不公平」「うれしい・悲しい」を全身で体験します。親の夫婦関係のパターン、感情の扱い方、コミュニケーションの仕方——すべてが子どもの中に「人間関係のモデル」として刻み込まれ、大人になってからの関係性の雛形になります。

セラピーでできること

「感情はダメじゃない。どんな感情も、感じて味わえば溶けていく」——そのことを体験していただきます。

感情の下にある「子どもの頃の思い込み」を一緒に見つけ、「本当はこうだったんだよ」と伝えていきます。

その過程で、本音が見つかります。本音の、さらに奥にある本音が見つかります。それはとても幼い思いと願いです。知られるのが恥ずかしくて、ずっと隠してきたもの。否定されることを恐れて、心の奥にしまい込んできたもの。

それらをまず全肯定する。「わかってくれた」と安心する。すると、自分の非を認められるようになる。素直になれる。間違いや注意を受け取れるようになる。そして、成長していく——その流れが生まれます。


大人の感情問題の多くは、この時期に根がある

「なぜか怒りが抑えられない」
「なぜか人に頼れない」
「なぜか自分を責めてしまう」
「なぜか愛されている実感が持てない」

こうした大人の感情のパターンは、多くの場合、6歳以前の体験に根ざしています。

記憶として残っていなくても、感情と身体はしっかり覚えています。当時の感情に気づき、感じ直し、癒すことで、大人になってからでも感情のクセは変えていくことができます。


子育て中のお母さんへ

「あの時こうすれば良かった」
「もっとうまく関われたはずなのに」

そう自分を責めているお母さんに、伝えたいことがあります。

完璧な子育てなど、ありません。傷つけてしまった部分があったとしても、今からでも必ず修復できます。子どもの心は、柔軟で、回復力に満ちています。そして何より——お母さん自身が変わると、子どもは必ず変わります。

大切なのは、お母さん自身が自分の感情と向き合い、癒していくことです。


感情の土台は、何歳からでも育てられます

胎児期〜6歳に形成された感情のパターンは、変えられないものではありません。

感情のクセに気づき、当時の感情を感じ直し、「本当はどう感じていたのか」「本当は何が欲しかったのか」に触れることで、何十年経っても、感情の土台を育て直すことができます。

それが、私のセラピーと感情教育の核心にあるものです。


セラピストとして、母として

長男が保育器の中で生きていた頃、私は毎日「あの子はどんな気持ちでいるのだろう」と思い続けていました。泣いても来てもらえない日々。チューブだらけの小さな身体。

その後、セラピーの仕事を通して、私は「胎児期〜乳幼児期の体験が、その後の感情のすべての土台になる」ということを、1万件を超えるセッションの中で確信するようになりました。

そしてもうひとつ確信していることがあります。どんな時期の傷も、癒すことができる。何歳からでも、感情の土台は育てられる、ということです。

あなたの中にある「小さな頃の自分」に、もう一度光を当てることから、すべては始まります。

心理セラピスト 西谷 真美


© CosmicMother Co.,Ltd. 心理セラピスト 西谷真美 / セラピールームBlueWinds
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